全日本学童大会

【特報最終版】2024夢舞台を総括&2025主役候補カタログ

【特報最終版】2024夢舞台を総括&202...

2024.11.15

 第44回高円宮賜杯全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは、大阪・新家スターズの2連覇で閉幕した。開幕の42日前から、4カ月にわたってお届けしてきた特報も、これがラスト。個人成績やデータを含めて大会を総括しつつ、来年の夢舞台出場と活躍が期待される5年生20戦士を紹介しよう。節目の第45回大会は、新潟県で開催される。 (写真・文=大久保克哉) (写真=福地和男) Wのラストイヤー  神宮(東京)開催の最終年に、何本のホームランが生まれるのか――。  巨大トーナメントの勝ち上がりとは別に、今大会はそういう注目もされていた。というのも、打球部が別素材の複合型バットのうち、一般用(大人用)の使用が来年度から全面禁止となるからだ。  同バットの代表格と言えば、ミズノ社の『ビヨンドマックス レガシー』。コロナ禍の2020年に登場すると、伝統のこの全国大会も翌年から本塁打が激増。外野70mの特設フェンスと、試合数の50はほぼ変わらない中で、2021年から34本(53試合)、43本(48試合)、29本と推移してきて、今年は39本のホームランが飛び出した。  3位の東京・不動パイレーツの四番・山本大智(=下写真右)が、大会最多の4本塁打。その前の三番を打つ細谷直生(=下写真左)が3本と、ランキングの上位2位を同一チームが独占した。以下、2本塁打で4選手が並んでいる。  10本増の総本数以外に、昨年と比べて違いが顕著なのは、大会序盤に本塁打が集中していることだ。1回戦(19試合)も2回戦(16試合)も、前年の倍以上(※2023総括➡こちら)。1回戦は何と20本塁打で、1試合に1本以上が出た計算になる。一方、3回戦8試合では1本(前年8本)、準々決勝以降では5本(前年7本)と尻すぼみに。  こうした極端な傾向から推察されることのひとつは、戦力レベルの二極化だ。そのギャップが大会序盤の本塁打の量産を招き、拮抗してきた後半戦で激減したと考えることもできる。出場全51チームが初戦を終える、2回戦までの35試合で、2ケタ得点が17チーム(前年10)もあったことも、ひとつの裏付けとなるだろう。 ミラクルも犠飛も多々  2年連続優勝を果たした大阪・新家スターズ(=下写真)は、1試合平均9.8得点という恐ろしい成績を残しながら、本塁打は1本だけ。ただし、その唯一がスペシャルだった。  5対7と逆転され、残り時間からしても最後の攻撃になるだろうという2回戦の4回表に、六番・黒田大貴が逆転3ラン。本人にとっても初のホームランという神懸かり的な決勝アーチから、チームは勢いを増していった。前年同様、走攻守のすべてが整うチャンピオンの牙城を崩し切るチームは、ついに現れなかった。  それでも、実際に相対した5チームはそれぞれ独自のカラーがあり、試合前半は見応えのある勝負を展開した。  中でも初出場ながら、王者をとことん追い詰めた埼玉・山野ガッツの打撃力は特筆するべきものだった。  準優勝の兵庫・北ナニワハヤテタイガースは、準々決勝で北嶋隼士主将(=上写真右)が完投し、続く準決勝では山口琉翔(=上写真左)が完封。ともに右腕で、三振の山を築くような本格派ではなかったものの、制球が安定していて駆け引きが巧み。数パターンあるという守備の変則陣形を使い分けるなど、チームとしても細やかな野球が印象的だった。  逆転に次ぐ逆転やサヨナラ決着など、球史にも残りそうな名勝負が複数あったのも、今大会の特長だった。初出場の福井・東郷ヤンチャーズに、過去準Vの実績がある不動パイレーツと愛知・北名古屋ドリームス。この3チームのミラクルは1度ではなかった。 初出場の福井・東郷ヤンチャーズは「選手ファースト」で3回戦進出。就任8年目の竹内浩二監督は次男・千太郎と今年度限りで卒団も、末っ子の2年生・承太郎が高学年になるころには復帰も!?  2回目の出場で全国1勝を挙げた神奈川・平戸イーグルスは波に乗り、3回戦では過去2回Vの多賀少年野球クラブ(滋賀)をサヨナラで破り、ベスト8まで躍進。その決勝打も含め、今大会は犠牲フライも目立ったが、来年度は本塁打とともに激減するのかもしれない。 関東勢の躍進続く  参加51チームの選手の平均人数(登録)は20.6人で、6年生は平均9.4人。昨年度の平均19.2人、6年生8.9人をそれぞれ上回った。  ベンチ入りの人数が、従来の20人から25人に拡大されたのは昨年度。その枠を満たしたチームも、前年の6から8(15.7%)に微増。一方、6年生が9人以上のチームは、前年より1つ減って24チーム(47.1%)だった。 京都・西城陽MVクラブは6年生15人。中学硬式など指導歴30年超の武田利行監督(左端)の就任は昨年11月で「冬場に徹底的に走らせたので動きにキレが出ました」。全国は初戦で1対2の惜敗も、ベンチを含むマナーとハイレベルな投手陣が目を引いた  全体として、選手の数は気持ち回復の傾向にあるようだ。しかし、気になるのは地域格差だ。東京と大阪の2大都市と周辺の府県は、6年生を含む選手の数が概ね平均値に達しているのに対して、北海道を除く地方はバラつきが激しい。特に心配なのは四国地方で、2年連続で登録20人に達したチームがない。  もちろん、都市部と地方部との人数格差は学童野球の全国大会に限ったことではなく、若年増の人口とも大いに相関関係があるのだろう。またその格差が、大会成績にも表れてきている側面もある。...

【チームインサイド・ルポ❷】"百戦錬磨"のV2王者。水のごとく

【チームインサイド・ルポ❷】"百戦錬磨"の...

2024.11.12

 史上3チーム目の2連続日本一。2024年の夢舞台で最後まで勝ち抜いたのは、前年度優勝枠で出場してきた大阪・新家スターズだった。真夏の酷暑もゲリラ豪雨も苦にしなかった5連戦。タイプの異なる強敵を粛々と下していく様は、ぶつかり稽古に胸を貸す横綱のようでもあった。新チーム始動から無敗を貫いて王座を防衛したチャンピオンの強さを、チーム成績やV戦士のコメントも交えて掘り下げていこう。 (写真・文=大久保克哉) 包囲網を破り、暑さにも雨にも動じず。 5連戦をマイペースでフィニッシュ ―2023&24 CHAMPION ― [前年度優勝/大阪] しんげ 新家スターズ  【戦いの軌跡】 2回戦〇10対7山野(埼玉) 3回戦〇9対1船橋(東京) 準々決〇11対5豊上(千葉) 準決勝〇6対2不動(東京2) 決 勝〇11対0北ナニワ(兵庫) レギュラーとして全国2連覇に貢献した藤田主将(手前)。明るくて頼れる三番・捕手だった  心憎い。盤石や鉄壁が、あまりにも過ぎて「判官びいき」を助長する。  学童球児の親世代でもギリギリ知っているか、いないか。昭和末期の高校野球では、大阪・PL学園高がそうだった。1983年夏から5季連続で甲子園に登場してきて、すべて4強以上で優勝と準優勝が2回ずつ。そう、桑田真澄(元巨人ほか)と清原和博(元西武ほか)の「KKコンビ」がプレーした、あの時代だ。  今夏の新家スターズには、「KK」のような超怪物クラスのタレントはいなかった。けれども、どこにも穴がなくて、抜け目もない。相手を自ずとコケさせたり、最終的には勝負をものにする泰然自若。これらは「PL黄金期」を思わせるようでもあった。 敵に下を向かせる  大会初戦となった2回戦は、山野ガッツ(埼玉)との歴史的な打撃戦で辛くも勝利(「名勝負数え唄❶」➡こちら)。続く3回戦の相手は、新人戦の関東王者のタレント軍団、東京・船橋フェニックス(チームルポ➡こちら)。この「天下分け目の決戦」をワンサイドで制してみせた。 一番・山田はチームで唯一、全5試合で安打と盗塁をマーク。効果的な一打と三盗も光った  新家は序盤2イニングで単打7本に5四死球、2盗塁で8得点。そのうち3点は相手のミスによるものだった。またそれだけの大量リードをしても、守りがまるで緩まない。外野手のポジショニングを含む守備範囲と安定感は、今大会随一ではなかっただろうか。  3回戦ではレギュラー唯一の5年生、竹添來翔の右翼守備でビッグプレーがあった。2回裏、船橋の先頭打者が放った小飛球を、前進してきてからのダイビングで好捕した(=下写真)。 「(打球が上がった)瞬間に飛び込む判断をしました。今日は打つほうも2本打てて、うれしかったです」と、初々しい5年生。ボール3からストライクを4球(2球ファウル)続けた、マウンドの庄司七翔もお見事だった。仮にこの先頭打者が塁に出ていれば、流れが変わる可能性もあった。...

【チームインサイド・ルポ❶】道半ばで散った神宮のメインキャスト

【チームインサイド・ルポ❶】道半ばで散った...

2024.10.30

 今夏の夢舞台を語る上で、決して外せないチームがある。最後まで主役の座を張れなかったものの、前半戦は間違いなく、チャンピオンシップの巨大トーナメントの中心にいた。船橋フェニックス。そう、“東京無双”の陽キャなタレント軍団だ。「天下分け目の決戦」とも言えた前年王者との3回戦を中心に、その懐へも入り込んでリポートしよう。 (写真・文=大久保克哉) 冬の神宮へ。舞い戻れ、不死鳥よ! 夏の夢を終わらせてはいけない。 [東京] ふなばし 船橋フェニックス 【ベスト16への軌跡】 1回戦〇9対0黒部中央(富山) 2回戦〇13対0国分小(鹿児島) 3回戦●1対9新家(大阪) 3回戦 ◇8月19日 ◇神宮球場 ■第1試合 [大阪]3年連続4回目 新家スターズ  2601=9  1000=1 船橋フェニックス [東京]2年連続2回目 【新】庄司、山田、今西-藤田、庄司 【船】吉村、松本、木村-竹原 二塁打/松瀬吟(新) 気合いの五輪刈り  日本一決定からの歓喜の輪も胴上げも、雨で流れてしまった今夏の夢舞台。終わってみれば、筆者が目にした一番の笑顔は、開会式の日にあったのかもしれない。  8月15日の夕刻、明治神宮野球場。前年度王者と47都道県のチャンピオンが一堂に会した中での、最後のセレモニー。始球式が発端だった。...

【名勝負数え唄❹3回戦/不動vs.北名古屋】ミラクル×ミラクル=超スペクタクルな9イニング

【名勝負数え唄❹3回戦/不動vs.北名古屋...

2024.10.28

 学童球史に残るだろう、点取り合戦を第1弾でお伝えした『名勝負数え唄』。最終の第4弾は、好プレーのオンパレードで、特別延長も3イニングを渡り合うシーソーゲームとなった3回戦。改めて野球の深さを訴えるとともに、舞台裏にも迫ると全国大会の存在意義やそこを目指すことの尊さも見えてくる。さらには、安定したクラブチームの育成システムや、父親監督が率いるチームの理想的な終着までが浮き彫りに。やはり、後世にも語り継ぎたい麗しき一戦だった。 (写真&文=大久保克哉) (特別継続試合写真=福地和男) 3回戦 ◇8月19日 ◇神宮球場 ■第4試合 ◇8月20日 ◇駒沢硬式野球場 ■特別継続試合 [東京]2年連続5回目 不動パイレーツ  000030021=6 ※規定により7回からタイブレーク  011001020=5 北名古屋ドリームス [愛知]2年連続6回目 【不】山本、鎌瀬-鎌瀬、唐木 【北】三島、富田-岡野 本塁打/細谷(不) 二塁打/山本、米永、田中(不)、三島(北) 無念のクジ引きも覚悟 「白黒をつけさせてもらった。何よりも、それがありがたかったですよね」  愛知・北名古屋ドリームスの岡秀信監督の、振り返りの第一声がそれだった。  神宮球場での第4試合はナイトゲームとなり、既定の6回を終えてスコアは3対3。無死一、二塁で始まる特別延長戦に入り、7回の表裏はともバントで一死二、三塁とするも、両投手が踏ん張って無得点に終わった。そして8回を迎える前に、まさしく“水入り”となる。 7回はそれぞれ犠打で一死二、三塁とするも0点。表の不動は遊ゴロも本塁タッチアウト(上)。裏の北名古屋は、申告敬遠で満塁から後続が倒れる(下)  轟く雷鳴に続く豪雨で、19時21分に試合が中断。グリーンの人工芝にみるみる水面が広がり、土砂降りの粒玉がそこに跳ねて花火のよう。やがて大会本部席から両ベンチの指揮官が呼ばれ、岡監督は「抽選」を覚悟したという。 「夏の全国大会でのダブルヘッダーはある意味、禁断ですよね。聞いたことないし、1回戦が台風で1日順延されたので予備日もない。スポーツ少年団の全国大会(軟式野球交流大会)では、今年は暑さ指数(WBGT)が一定以上なら試合せずに抽選だったとか、そういうのも知っとるから…」...

【名勝負数え唄❸2回戦/岩見沢vs.北名古屋】あと1球で敗北から逆転サヨナラ!元準V王者の周到と底力

【名勝負数え唄❸2回戦/岩見沢vs.北名古...

2024.10.21

 超難関の全国舞台も6回目。過去には決勝で2者連続アーチなど伝統の打力を存分に発揮しながら、銀メダルに終わったことも。夢舞台で勝ち切ることの難しさも骨身に沁みている。だからこそ、周到に準備をしてきて、それがひとつの身を結んだ形となったようだ。『名勝負数え唄』第3弾は、歓喜と失意が渦巻く逆転サヨナラ劇に潜んでいた、納得のクールにも迫る。 (写真&文=大久保克哉) 2回戦 ◇8月18日 ◇府中市民球場 ■第4試合 [北海道南]初出場 岩見沢学童野球クラブ  102000=3  000103x=4 北名古屋ドリームス [愛知]2年連続6回目 【岩】大西竣、山下-北川 【北】三島、富田-岡野 本塁打/山下、井川(岩) 二塁打/大西竣、柳谷(岩)、髙井(北)  競技2日目の2回戦。府中市民球場での第4試合は、夕刻の18時5分にプレーボール。そして30秒としないうちに、先頭打者アーチが生まれた。  それから1時間と44分後。カクテル光線で浮かび上がる夏夜のスタジアムでの幕切れを、いったい誰が予想できただろうか。のっけからビハインドで、残り1アウトどころか、あと1球で敗北。よく言う「徳俵に足がかかった」瀕死のチームが、一気に同点、そして逆転サヨナラで勝利を収めてみせた。  しかし、それを安易に「奇跡的」と表現してはいけないのもしれない。勝者の指揮官にも確信はなかったものの、「そういう練習はず~っとやってましたよね」と話している。要するに、試合終盤でひっくり返すというシミュレーションも経て臨んだ、全国舞台だったのだ。 待望のニューウェーブ  北国や豪雪地域はハンディを背負っている。この認識はあながち間違いではない。極寒の季節が長く、屋外で自由に白球を追える時間は限られるからだ。ただし、そうした「特例区」につきまとう概念は、昨今の学童野球にはないと言えるだろう。  北信越の石川県勢は、全日本学童大会で優勝3回。これは全国2位タイの記録だ。また2017年には、東16丁目フリッパーズが道勢初の日本一に輝いている。同チームはその前年に全国3位(=下写真)。個々の打力が高い上に、1点をもぎ取り、また守るための戦術が洗練されている。その戦いぶりは、非力や拙いという「特例区」のイメージを夢舞台でも一変させるものだった。  そんな北海道きっての強豪は今年、全国予選の南北海道大会1回戦で敗退。最終回に七番打者・細野世羅の逆転サヨナラ満塁ホームランで勝利し、そのまま勝ち続けて真夏の本大会に初めてやってきたのが、岩見沢学童野球クラブだ。 「とんでもなく強い!」との前評判に偽りのないことは、全国初陣となった前日の1回戦で実証された。高知県の王者を17安打21得点で圧倒。今大会50試合の中で、その得点数は最多タイ、ヒット数は3位タイだった。  縮小と二極化が加速する学童球界にとって、いわば待望のニューウェーブ。成り立ちも目的も運営も先駆的で、少子高齢化に悩むローカル地域の模範例にもなるだろう。チームは創設2年目で、小松連史監督(=下写真中央)は今大会最年少で唯一の20代だ。 「私たちが活動する岩見沢市も人口がかなり減ってきている中で、子どもたちが野球をする環境を残すために、NPO法人を立ち上げてできたチームです。指導者7人は全員が学校の教員。監督はボクがやっていますけど誰でもよくて、地域のみなさんと子どもたちを育て上げる、という目的は変わりません」(同監督)  道都・札幌から1市1町を隔てただけでも、岩見沢市は有数の豪雪地帯で野球環境はさらに厳しい。それでも、昨今の親世代の多くが学童チームに求める無条件の「安心」が、そこには確実にあるのだろう。選手は1学年9人以上。そのうち6年生14人と、5年生9人が東京での全国舞台へやってきた。...

【名勝負数え唄❷2回戦/不動vs.金田】ハイレベルな攻防の必然。学童でもここまでできる!

【名勝負数え唄❷2回戦/不動vs.金田】ハ...

2024.10.18

 個々のハイスキルに加え、野球知能の高さも存分にうかかえた両軍による、逆転また逆転の熱戦が2回戦であった。ベンチで応援マーチを歌って手拍子で盛り上げるのも「学童あるある」。だが、この2チームはきっと、試合中に声を枯らすよりも頭を働かせ、野球を深く学ぶことに重きを置いてきたはず。勝者は大会3位まで勝ち進み、敗者は地元に戻って史上初の年4冠(県)に。『名勝負数え唄』第2弾は、それらの必然性にも迫る。 (写真&文=大久保克哉) 2回戦 ◇8月18日 ◇府中市民球場 ■第3試合 [東京]2年連続5回目 不動パイレーツ  00250=7  10400=5 金田ジュニアクラブ [福岡]16年ぶり2回目 【不】川本、鎌瀬-鎌瀬、唐木 【金】今井悠、石光奏-石光奏、今井悠 本塁打/鎌瀬、山本(不) 二塁打/福間煌、石光奏(金)、難波、川本、石田(不)、中田(金) 口より行動の「当たり前」  どれだけ野球を理解しているのか。またどれだけ野球を教えられているのか――。知識も経験もゼロから始まる小学生ゆえ、実戦ではそのあたりが如実に見えてくる。  とりわけ、顕著に表れやすいのが守備のバックアップだ。次の展開や仲間のミスを想定して動けているかどうか。そのあたりの浸透具合やベンチの指示から読み取れる「野球知能」の格差が、結果として明暗を分かつこともままある。 一塁側・不動の応援席から始まった試合前の敵軍へのエール(上)に、三塁側・金田の応援席も呼応(下)。清々しい雰囲気でプレーボールを迎えた  高校野球の甲子園の比ではない超難関。ハイレベルな全日本学童大会になると、さすがに大きな差は見られなくなる。その中でも、この2回戦で激突した両軍は、野球知識や戦術や駆け引きという面でも、極めて高い次元にあった。  たとえば、開始直後の三遊間寄りのゴロを流れるようなランニングキャッチ&スローで捌いた、福岡・金田ジュニアクラブの高村昇太郎(=下写真)だ。  5年生のこの三塁手は、投手が一塁へけん制した際には、一塁手からの返球に合わせて必ずバックアップに動いていた。相手の東京・不動パイレーツで三塁を守った、石田理汰郎と川本貫太もまた然り。  ちなみに、こうしたバックアップはプロでも当たり前にやっている。 「万が一の確率もない。としても、やるべきをやるのもプロ」。これは筆者が野球誌で千葉ロッテを担当していた10数年ほど前、当時の正三塁手・今江敏晃氏(前楽天監督)から直接に聞いた言葉だ。  学童野球なら、投げミスの確率は「十が一」(1割)以上あるかもしれない。全国舞台になると、三塁手が一塁けん制でバックアップに動くのは、そう珍しくはなくなる。走者がいるときに、捕手から投手への返球1球1球に、二遊間が呼応するバックアップも普通に見られる。  ただし、二塁けん制から投手への返球に合わせて、捕手が立ち上がって送球コースまで動くとなると、相当にレアとなる。金田のスタメンマスク、5年生の石光奏都(=下写真)は、それも自然にやっていた。「来年度の主役候補」と呼べる5年生の逸材が目立った今大会だが、6年生でもそこまでやれていた捕手が他にいただろうか。...

【名勝負数え唄❶2回戦/新家vs.山野】濃密4回104分。学童球史に残る激闘

【名勝負数え唄❶2回戦/新家vs.山野】濃...

2024.10.15

 47都道府県の王者によって日本一を決する「学童野球の甲子園」。全日本学童大会マクドナルド・トーナメントは、1回戦から決勝まで全50試合ある。真夏の最多6連戦とあって、どのチームもフレッシュな大会序盤に好ゲームが展開されることが多い。今年もまた、3回戦までに特筆レベルの名勝負が複数。中でも、毛色の違う実力派同士が得点を奪い合った、この2回戦は球史にも残るだろう激闘だった。 (写真&文=大久保克哉) 2回戦 ◇8月18日 ◇駒沢硬式野球場 ■第1試合 [大阪]3年連続4回目 新家スターズ  3205=10  2320=7 山野ガッツ [埼玉]初出場 【新】庄司、山田、庄司、今西、庄司-藤田、庄司、藤田、庄司、藤田 【山】中井、高松-樋口 本塁打/高松(山)、黒田(新) 二塁打/山田(新)、中井2、三木2、樋口(山)、竹添(新)、遠山(山)、松瀬、西浦(新) 鬼門を打破したV戦士  最終的には大会2連覇を果たすことになる前年王者だが、指揮官も大いに肝を冷やしたというのが、この2回戦だった。戦い終えての第一声と、血の気が引いたような顔が激闘のほどを物語っていた。 「疲れたわ~疲れた。いやぁ、ホンマにヤバいな。聞いていた通りやったわ、山野のバッティング…」  スポーツの世界では、どれほどの実力者でも「鬼門」と言われるのが、大会の初戦。いつものパフォーマンスを発揮できずに敗れたり、苦戦を強いられることがままある。 大会初戦の新家(上)は、いつも通りのパワフルできびきびしたシートノックを試合前に披露。見ていた山野ベンチに、気圧された様子はなかった(下)  前年度優勝枠で出場の大阪・新家スターズは、この2回戦が大会初戦だった。ただし、予選にあたる府大会にあえて参戦し、これを制してきた不敗軍団でもある。  不吉なものを早々に打ち払ったのは、前年V戦士のトップバッター、山田拓澄だった。開始2球目の103㎞を左打席から左中間へ運ぶ、特大のエンタイトル二塁打。試合巧者の新家は、この一撃から“らしさ全開”となった。  二番・西浦颯馬は、初球をバント。これが三塁前へ絶妙に転がるヒットとなって無死一、三塁に。さらに次の初球での二盗が悪送球を誘って、三走の山田が先制のホームを踏んだ。 1回表、新家は山田の二塁打(上)と西浦のバント安打(下)に、二盗絡みの敵失で1点  1点とは、かくも簡単に取れるものなのか――開始からわずか4球での先取。大会初戦の、それも初っ端でこれだ。二塁へ走った西浦は、センターへ抜けた送球を見て三塁も狙ったが、タッチアウトとなって走者はいなくなった。しかし、先制攻撃がそれで終わらないあたりも、いかにも不敗軍団だった。  四番・庄司七翔の右前打の前後に、死球と敵失があって2点目。さらに七番・新谷陸の左前タイムリー(=下写真)で、リードを3点に広げた。...

【夢舞台を彩った俊英❷】一芸に秀でた『金の卵』12戦士

【夢舞台を彩った俊英❷】一芸に秀でた『金の...

2024.10.05

 万能のスターでなくても、秀でた一芸で輝けるのは、野球というスポーツの醍醐味のひとつ。学童ゆえ、未完成や粗削りを「是」と受け止めることもできる。たとえ短くとも、世界を一変するような輝き方もあるし、後から染み入る眩しさもある。夢舞台を彩った俊英たちの第2弾は、「打者編」「投手編」「マルチ編」に分けて、トータル12戦士を紹介していこう。 (写真=福地和男) (写真・文=大久保克哉) ■バットマン編 ―金の卵❶― 創作の主人公のようなリアル ほそや・なおき 細谷直生 [東京・不動パイレーツ] 6年/右投右打 「なんかマンガみたい」  全国銅メダルまでの自身のストーリーを、細谷直生はそのように評した。小学生最後の夏の夢舞台にあっては、フィクションの世界から飛び出した主人公のような立ち回りを演じた。  誰もが一目で忘れない、155㎝66㎏のシルエット。眼にはいつも生気が漲り、ヒザの屈伸で右打席に入るところから雰囲気もたっぷり。むんずと両手で持つバットを頭上に掲げ、肩まわりをほぐすルーティンまでが、期待値を跳ね上げた。  そして期待や注目に対して、少なくとも半分以上はバットで応えてきた。打率は5割5分超。大会最多本塁打はチームメイトの山本大智(※二刀流❸)に譲るも、単独2位となる3本のホームランを5試合の中でかっ飛ばした。  アーチの中でも、神宮球場の左翼特設フェンスの向こうへと放った、2本の2ランが痛快だった。ほしい場面での豪快な一発にスタンドはどよめき、応援席やベンチは狂喜乱舞する姿も。  1発目は愛知・北名古屋ドリームスとの3回戦だった。0対2で迎えた5回表、1点を返してなお、一時逆転となる2ラン。2発目は大阪・新家スターズとの準決勝だ。四死球も絡んで前年王者に0対3とリードされ、重苦しいムードで迎えた3回表だった。走者を1人置いて、高めの明らかなボール球を強引にバットに乗せて、左翼フェンスの向こうへと運んだ。  痛快な一撃に続き、ほとばしる激情。それが見て取れる表情や全身のアクションがまた、ことごとく絵になった。小6にして、こんなにも個性的で明白なキャラクターが他にいるだろうか。  その巨漢も怠惰の果てではない。鍛え抜かれたゆえであることは、機敏な一塁守備や力強いスローイング、敵の虚を突く好走塁からも読み取れた。また、仲間への声掛けを聞いていると、大人顔負けの野球頭の持ち主であることもわかる。 「NPBジュニアは全部、セレクションで落ちました」  自ら平然と言い出すあたりに、プライドものぞく。今夏の学童最高峰の舞台で得た自信とともに、反骨心がスイング力に上乗せされていくことだろう。  球界の最高峰のカテゴリーは客商売。ケタ違いの人々を魅了する巨漢選手のシルエットに、10年後の彼を勝手に描いて重ねてしまうのは筆者だけだろうか。本人にも迷惑だろうか。   ―金の卵❷― 努力は嘘つかぬを体現 たかはし・れいと 高橋嶺斗...

【夢舞台を彩った俊英❶】投打『二刀流』8戦士

【夢舞台を彩った俊英❶】投打『二刀流』8戦士

2024.10.02

 完全試合も遂げたV腕がいた一昨年。そして124㎞を投じるモンスターが躍動した昨年。この直近2年が特別で、今年は例年に戻ったということなのかもしれない。誰もが「怪物!!」と認めるようなパフォーマンスは見られなかった。負けたら終わりの大会ゆえ、埋もれたまま消えた能力もあるかもしれない。しかし、持てる力を本番で発揮することや、チームを勝たせるのもまた実力だ。全50試合のうち18試合を現場で取材した『学童野球メディア』が、個人成績も集計・加味した上で、今夏の夢舞台を彩った俊英たちを紹介していく。第1弾は、投打の「二刀流」で輝いた8戦士。 (写真=福地和男) (写真・文=大久保克哉)  ―投打二刀流❶― 捕手でもスケール大の『三刀流』 なかた・こうき 中田昊輝 [広島・安佐クラブ] 6年/右投左打  現場で取材した限りでは「No.1」の本格派投手だった。168㎝58㎞の身体を持て余していない。整ったフォームから右腕を存分に振って投じるストレートは、迫力満点だった。  下位打線はストライク先行で、ねじ伏せる。上位打線やピンチの場面では、スローボールも交えて各打者とじっくりと勝負。投げ終わりに、軸足の靴底がきれいに天を向いているのも特長的だった。 「ピッチャーは佐々木朗希投手(ロッテ)が好きです」  8月の広島県の大会で更新したという最速は118㎞。今大会はリリーフ登板で3つ勝って、聖地・神宮での準々決勝へ。同球場は学童16mの投球距離に合わせた計測システムがないものの、コンスタントに110㎞前後を投げていたと思われる。  同点の5回に二塁打3本で決勝点を奪われて敗北。「勝負したんですけど、甘く入ってしまって思い通りのボールを投げられなかったのが一番悔しいです」と号泣しながら話した。  バットを持てば、左打席から鋭い当たりを連発。1回戦で二塁打2本、2回戦では右中間の特設フェンスの向こうへアーチを描いた。続く3回戦は3打席連続四球も、打ち気にはやることなく、準決勝も好球必打で二塁打と2点タイムリーを放った。  さらには捕手としても出色だった。とりわけ見事だったのは、強肩とフットワークだ。2回戦、3回戦と初回に二盗阻止。けん制とクイック投法に長けていた大深修主将とのバッテリーで、流れを呼んだ。また3回戦では、ライトゴロのベースカバーに入り、一塁悪送球を拾っての矢のような二塁送球で打者走者をタッチアウトにするビッグプレーもあった。 「キャッチャーは甲斐拓哉選手(ソフトバンク)が好きです。これからもピッチャーとキャッチャー、両方でいきたい。夢はプロ野球選手です」  ひとしきり激しく泣いた後は、爽やかな笑顔で聖地を後にした。姉3人に続く、末っ子。中田家でもきっと待望だった男児は、スケール感はそのままに、世代の夢も負っていくことになるのかもしれない。   ―投打二刀流❷― 大会No.1リードオフマン やまだ・たくと 山田拓澄 [大阪・新家スターズ] 6年/左投左打  1年前の全国舞台も六番・中堅でフル出場、ホームランも放って日本一に貢献したときから「世代屈指」と注目されてきた。投打二刀流にトライして1年、満12歳には長くて重すぎるプレッシャーもあっただろうが、見事にチームの2連覇に貢献した。...

【決勝評/ヒーロー&グッドルーザー】完全無欠のV2、やはり新家は強かった!雨天コールド決着も、異論なし

【決勝評/ヒーロー&グッドルーザー】完全無...

2024.09.17

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの決勝は、おそらく史上初の雨天コールドで、5回終了をもっての決着に。兵庫・北ナニワハヤテタイガースを11対0でリードしていた、前年度優勝の大阪・新家スターズの2年連続2回目の優勝が決まった。4回表を潮目にワンサイドとなった大一番だが、前半戦は見応えのある好勝負が展開された。 (写真&文=大久保克哉) ※日本一・新家スターズのリポートは後日にお届けします 決勝 ◇8月22日 ◇明治神宮野球場 [大阪]3年連続4回目 新家スターズ  10190=11  00000=0 北ナニワハヤテタイガース [兵庫]2年連続4回目 ※5回終了、雨天コールド 【新】庄司、今西、山田、今西-藤田凰、庄司 【北】北嶋、山口、上石、二木、北嶋-矢之文 二塁打/山田(新) 5回裏(上)から激しい雨となり、6回表に新家が15対0とリードを広げてなお、二死満塁。交換するボールも手につかなくなって試合が中断(下)  もう十分だから、勘弁してもらえないか!? 「聖地」神宮球場を激しく打ちつける雨音は、不敗の前年王者へ全国から向けられた「白旗」を代弁するかのようだった。  6回表。11対0とリードする新家スターズの攻撃は、豪雨に等しく止む気配がなかった。一死から一番・山田拓澄のエンタイトル二塁打を皮切りに、1四球を挟む5連打で14対0に。二死となってから、八番・今西海緒が押し出し四球を選んでもう1点が加わり、2巡目の攻撃に入ってボール3となる。  ここで初めて、試合は中断する。そして約30分の待機を経ての「終了」という断に、異論は出なかった。「小学生の甲子園」とも言われる全日本学童大会で、それも決勝戦でのこういう決着は極めて異例。キャリア60年の北ナニワハヤテタイガースの石橋孝志監督も「こんなの初めてや。でも仕方ないわな」と、敗北を潔く受け入れた。  正式には5回終了、雨天コールド。これによって、公式記録に書き込まれていた6回表の新家の4得点や5安打も、すべて修正液で塗りつぶされた。  それでも11対0。新家スターズが文句なしに、2年連続2回目の日本一に輝いた。  新チームになってから、練習試合やローカル大会も含めて全勝中。この全国大会は前年度優勝枠での出場が約束されていたが、それでも大阪府予選に参戦し、これも制してきての完全無欠の全国制覇だった。 中断から30分が過ぎて、球審が「コールドゲーム」を宣告(上)。ネット裏では、両監督に屋内で実施する閉会式の説明も行われた(下)  表彰式は球場入り口からのメイン通路で行われ、歓喜の胴上げもなし。それでも千代松剛史監督は、満ち足りた表情で報道陣にも応対した。 「ボクはいつも厳しいことを言うてるんですけど、努力の成果が出て喜んでいるときに子どもたちが一番成長するんじゃないかと思っているんです。やっぱりね、これだけ(練習)やってきたから、この(日本一の)景色が見れた。となると、中学に行っても、努力の先にそういう光景があるんじゃないか…そういう話は子どもたちにいつもさせてもらっています」 双方で投げ合い...

【準決勝❷試合評/ヒーロー&グッドルーザー】北ナニワがサヨナラで決勝へ。エース山口が、牧野を6回完封

【準決勝❷試合評/ヒーロー&グッドルーザー...

2024.09.12

 同じ関西勢。大会公式パンフレットでは、見開きページの左右に並ぶ兵庫と奈良のチームが、決勝の椅子をかけて激突した。高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの準決勝第2試合は、6回表まで0対0という珍しい展開に。迎えた6回裏、北ナニワハヤテタイガースが中川翔斗の適時二塁打でサヨナラ勝ちした。先発のエース・山口琉翔は、被安打3の無四球完封。敗れた牧野ジュニアーズも、田中瑛人主将が5回無失点と好投し、初出場ながら銅メダルに輝いた。 (取材&文=大久保克哉) (写真=福地和男) 兼ねてより互いを認知していたという両軍だが、コロナ禍や荒天などで交流試合はなかなか実現せず。初対決が、全国準決勝という舞台に 準決勝 ◇8月21日 ◇明治神宮野球場 ■第2試合 [奈良]初出場 牧野ジュニアーズ  000000=0  000001x=1 北ナニワハヤテタイガース [兵庫]2年連続4回目 【牧】田中、鶴岡-田仲、田中 【北】山口-矢之文 二塁打/山口、中川(北) 北ナニワの山口(上)と、牧野の田中主将(下)が、5回までともに無失点の投げ合いを演じた  来年度からは使用が禁止される、一般用(大人用)の複合型バット。打球部が別素材でできており、インパクト時のボールの変形を抑える分だけ、飛距離が増すという優れもの。 「野球を変えた」とも言われる、その“飛ぶバット”が全盛でも、全国大会になるとロースコアのゲームもままある。それだけ投手と守備のレベルも高いということだろう。ただし、終盤戦まで0対0のゲームとなると、昨今の全国大会でも相当にレア。今夏も50試合の中で、この準決勝の第2試合だけだった。 2回表、牧野は迎井が中前打(上)。その裏は北ナニワの上石(5年)が左前打(下)。しかし、後続が倒れて無得点  北ナニワハヤテタイガースは山口琉翔、牧野ジュニアーズは田中瑛人主将。先発した両右腕の快投によって、5回を終えてもスコアは0対0。ただし、どちらの右腕も、剛速球で三振の山を築くというタイプではなかった。  大きな括りで言えば、軟投派。打たせて取るタイプだ。コンパクトなテイクバックが共通しており、必要なところで適度に力を与えられたボールの多くは、捕手の構えたミットの方向へ。  初回には双方の守りにミスもあったが、両右腕は落ち着いて後続を打たせて取った。2回表には牧野の迎井福司が、その裏には北ナニワの5年生・上石弦が、それぞれ一死からクリーンヒットを放ったものの、生還はできなかった。 大人用複合型バットも何の! 「ボクは県大会が終わった(全国出場決定)後から、打たれ過ぎて良いピッチングができなくて。速いボールを投げたいと思っちゃっていたので、コントロールが悪くなって、フォアボールを出してから甘く入った球を打たれる感じで…」  大会前の自分をこう振り返ったのは北ナニワの山口だ。反省と教訓が十分に生かされた、この日のピッチングだったのだ。終わってみれば、無四球で散発の被安打3。走者は何度も背負ったが、毎回の先頭打者で確実に1アウト目を奪ったことで、試合巧者の相手に思うような攻撃をさせなかった。...

【準決勝❶試合評/ヒーロー&グッドルーザー】関東“最後の砦”も陥落。新家が毎回得点でV2王手

【準決勝❶試合評/ヒーロー&グッドルーザー...

2024.09.06

 昨年の決勝と同一カードとなった、高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの準決勝第1試合。前年優勝の大阪・新家スターズが、東京・不動パイレーツを6対2で返り討ちにした。わずか3安打ながら、肉を切らせて骨を断つという内容だった新家はこれで、関東勢を4タテ。与えた7四死球が響いた不動とすれば、試合に勝って勝負に負けたというところか。ポイントに切り込んだ試合評に続いて、ヒーローとグッドルーザーをお届けしよう。 (取材&文=大久保克哉) (写真=福地和男) 準決勝 ◇8月21日 ◇明治神宮野球場 ■第1試合 [東京]2年連続5回目 不動パイレーツ  002000=2  12111 X=6 新家スターズ [大阪]3年連続4回目 【不】山本、唐木、鎌瀬-鎌瀬、唐木 【新】庄司、今西、庄司-藤田凰 本塁打/細谷(不)=大会3号2ラン 二塁打/細谷(不) 1回表、不動の二番・鎌瀬主将が死球で出ると、二盗に成功(上)。さらに内野ゴロで二死三塁としたが、新家の先発・庄司七翔が三振を奪って切り抜ける(下) 「勝敗を超えて今日は何か、ウチのゲームをさせてもらったと思っています。これまでやってきたこと、心掛けてきたことについては、何も間違っていなかったと確信できました」  不動・鎌瀬慎吾監督の試合後の弁は、決して負け惜しみには聞こえなかった。  終わってみれば、毎回失点の4点差で敗北も、ヒット数は新家の3本に対して5本。その内訳も、単打2本とバント安打1本の新家に対して、不動は全5本が外野へ打ち返したヒットで、本塁打とエンタイトル二塁打が1本ずつ。打球の鋭さからしても、個の打力は上回っていたと思われる。  また守備においては、バッテリーミスを除けば互いにノーエラー。その中で光ったのは、準々決勝までほぼやりたい放題だった新家の足技を、不動が見事に返したワンプレーだった。 1回裏、新家は先頭の山田が四球から二盗に続いて、三盗(上)も決めて無死三塁に。一死後、三番・藤田凰介主将の三ゴロで先制点。表の不動の攻撃と似ているようで、進め方も結果も違った  2回裏だ。攻める新家は、適時ボークと一番・山田拓澄の右前タイムリーで3対0として、なお二死一、三塁。ここで一走の山田がゆるゆると塁間に出て投手のけん制を誘い、挟殺プレーに。その間に三走が本塁を突くという、高校野球でもよくある戦法のひとつだ。  1点が入るか否かは、双方の熟練度による。こういう場面を想定した走塁と守備をどれだけ練習し、また実戦で経験してきたかという、場数だけではない。最も問われるのは、総体的な戦術の浸透度だ。状況の把握と約束事の共通理解が全員に必要で、その上で個の判断力と、プレーの精度が明暗を分けることになる。 二死一、三塁から挟殺プレー...

【準々決勝❷/駒沢】新家と不動が1年ぶりリマッチへ!写真ダイジェスト&グッドルーザー

【準々決勝❷/駒沢】新家と不動が1年ぶりリ...

2024.08.30

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの準々決勝。駒沢公園硬式野球場では、前年度優勝の大阪・新家スターズと、東京第2代表の不動パイレーツが勝利。両チームは昨夏の決勝で戦っており、1年ぶりのリマッチが準決勝で実現することに。新家は2回戦から関東勢に4連勝も、千葉の盟主・豊上ジュニアーズが先制攻撃と勝負手で王者をグラつかせた。 (写真=福地和男) (取材&文=大久保克哉) 準々決勝 ◇8月20日 ◇駒沢球場 ■第2試合 前年覇者、気付けば大差の逆転勝ち 新家は八番・今西海緒が3安打3打点の活躍で、4回の2点中前打が決勝打に(上)。豊上は絶好調の四番・高橋嶺斗が初回に3ラン(下)など4点を先取した [大阪]3年連続4回目 新家スターズ  034130=11  400001=5 豊上ジュニアーズ [千葉]2年ぶり5回目 【新】庄司、山田-藤田凰、庄司 【豊】桐原、加藤-岡田 本塁打/高橋(豊) 三塁打/福井(豊) 二塁打/藤田凰、庄司、西浦颯(新) 1回裏、豊上は一番・福井陽大(5年)が三塁打と野選で生還(上)。なお、無死一、二塁で四番・高橋がセンター方向へ大会1号アーチ(下) 新家は2回表、四番・庄司七翔の左前打から一死満塁として八番・今西の犠飛(上)でまず1点。さらに一番・山田拓澄の中前打(下)で3対4に迫る 3回表、新家は三番・藤田凰介主将(上)と、四番・庄司の連続二塁打(下)で4対4の同点に 3回表、豊上はバッテリーミスで4対5と逆転されたところで髙野範哉監督がタイムを取る(上)。しかし、新家が今西の中前打で7対4。4回表には五番・松瀬吟愛(下)のタイムリーで加点 4回は互いの守りが光った。豊上は二盗阻止(上)、新家は6-4-3の併殺を奪う(下) 新家は5回、二番・西浦颯馬が満塁の走者を一掃する二塁打(上)でダメ押し。豊上は最終6回、途中出場の5年生・中尾栄道の二塁打(下)で5点目が入る 3回途中から救援した新家の山田が4安打1失点、無四球の好投で準決勝進出を決めた...

【準々決勝❶/神宮】勝ち残り3/4が関西勢に!写真ダイジェスト&グッドルーザー

【準々決勝❶/神宮】勝ち残り3/4が関西勢...

2024.08.28

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの準々決勝は8月20日、2会場で行われて4強が出そろった。勝ち残ったうちの3チームは関西勢となったが、聖地「神宮」では新たな風も吹いた。まずは同球場での2試合の写真ダイジェストと、グッドルーザーをお届けしよう。 (写真&文=大久保克哉) ※駒沢球場での準々決勝2試合も、写真ダイジェストで近日中にお届けします 準々決勝 ◇8月20日 ◇神宮球場 ■第2試合 北ナニワ、北嶋主将が5回完投 北ナニワの北嶋隼士主将(上)は、打たせて取る投球で5回を67球で被安打5の2失点完投。安佐の先発・大深修主将(下)も無失点で立ち上がるも、不慣れな人工芝の簡易マウンドで足をつって2回途中で降板 [広島]13年ぶり2回目 安佐クラブ  002000=2  02002 X=4 北ナニワハヤテタイガース [兵庫]2年連続4回目 ※5回時間切れ 【安】大深、中田昊-中田昊、竹内 【北】北嶋-矢之文 二塁打/中田昊(安)、中川、上石、山川、二木、矢之文(北) 1回表、守る北ナニワは三盗阻止でピンチを切り抜ける(上)。その裏、安佐は木村隼士がいきなりライトゴロを決め、一死二塁からの右飛でも強肩でタッチアップを許さず(下) 2回裏、北ナニワは中川翔斗(上)と5年生・上石弦(下)の連続二塁打で先制する 先制した北ナニワはなお、一死一、三塁で石橋孝志監督がタイム(上)。直後に山口琉翔の三ゴロで2点目が入る。守る安佐は三塁手・江原佳陽(下)の美技で2回裏を終わらせた 安佐の反撃は3回表。八番・長谷川慎の左前打(上)と一番・江原の右前打(下)などで一死満塁と好機を広げる 3回表一死満塁から、安佐の二番・中田昊輝が中前へ2点タイムリー(下)で同点に 2対2のまま迎えた5回裏。北ナニワは先頭の九番・山川諒(4年)が左へエンタイトル二塁打を放つ(上) 5回裏、北ナニワは4年生に続いて二番・二木正太朗(上)の二塁打で勝ち越し(上)、四番・矢之文太も二塁打(下)で4対2。結果、それが決勝打とダメ押しに...

【3回戦/神宮】平戸がサヨナラ劇で初の8強入り!etc.コメント&写真ハイライト

【3回戦/神宮】平戸がサヨナラ劇で初の8強...

2024.08.27

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントの3回戦は8月19日(2試合は20日決着)、2会場で行われ、ベスト8が出そろった。「聖地」神宮では、東西の王者が激突した第1試合に始まり、特別延長戦で雨天順延となった第4試合まで白熱のバトルが展開された。第3試合は神奈川・平戸イーグルスが、過去2回Vの滋賀・多賀少年野球クラブにサヨナラ勝ちで準々決勝進出を決めている。 (写真&取材=大久保克哉) ※好勝負やチームや選手の深掘りリポートは追ってお届けします ■3回戦/神宮第1試合 前年王者が関東王者に完勝 7月末の高野山旗決勝以来となるリマッチを前に、新家・千代松剛史監督と船橋・木村剛監督が握手(上)。結果は新家が船橋を返り討ちに(下)※この試合は後日、特報予定 [大阪]3年連続4回目 新家スターズ  2601=9  1000=1 船橋フェニックス [東京]2年連続2回目 新家は1回表、二番の西浦颯馬(下=写真は2回の左前適時打)から藤田凰介主将(上)、庄司七翔まで3連打でまず1点、さらに一、三塁からの重盗で三走・藤田主将が生還 船橋は1回裏、松本一(上)と竹原煌翔の連打などから併殺崩れで1点を返すが、以降は本塁が遠かった。手痛いミスも響いた中で、2回途中から登板した木村心大が気を吐いた   ■3回戦/神宮第2試合 豊上・桐原、あわや完封の快投 豊上のエース・桐原慶(上)は5回二死まで71球で被安打4の7奪三振。2番手が適時打を浴びて2失点(自責点2)も、危なげのない快投だった。攻めては四番・高橋嶺斗(下)が先制犠飛に2打席連続タムリーで4打点。写真は3回の左前打 [徳島]16年ぶり2回目 大津西スポーツ少年団  000002=2  10203 X=6 豊上ジュニアーズ [千葉]2年ぶり5回目 豊上・髙野範哉監督「1回戦からガミガミやり過ぎちゃって、昨日から体調が最悪。声も枯れちゃって(笑)。4打点の高橋は元々は不器用で補欠だった子。それが一生懸命に努力して最後に来て四番で頑張っている。きれいにレベルで振っているのでミート率が高いですね。明日の新家戦はガンガン打つだけ。ミスなしでバッティングがハマってくれたら良い勝負できるかな、という感じですね」(=写真上)...

【決勝★直前スペシャル】ファイナリスト徹底比較&監督・選手の決意

【決勝★直前スペシャル】ファイナリスト徹底...

2024.08.22

 ファイナルは関西の新旧チャンピオンの激突に!高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは、8月22日の神宮球場での決勝戦を残すのみ。勝ち残った大阪・新家スターズと、兵庫・北ナニワハヤテタイガースは兼ねてより交流があり、現6年生たちは5年時の春に1度だけ対戦し、新家が2対1でサヨナラ勝ちしている。日本唯一の学童野球専門メディアから、さらにディープな両軍の比較に加え、両監督と6年生たちの意気込みをお届けする。 (取材・構成=大久保克哉) (写真=福地和男) 決勝カード ◇明治神宮野球場 ◇8月22日 ◇9:00開始 [大阪]3年連続4回目 新家スターズ   VS. 北ナニワハヤテタイガース [兵庫]2年連続4回目   ※今大会成績は公式記録から集計していますが、後から一部訂正される可能性があります しんげ 新家スターズ 藤田凰介主将=主に三番・捕手「みんなチーム全体、調子が良いので、このままの調子でいって。点数を取られても凹まず、明るく元気に楽しく。それで日本一を獲りたいと思います」(=写真下) 山田拓澄=主に一番・左翼「相手を0点に抑えて、こっちはボコボコ打って、勝ちたいと思います。マウンドに立ちたい気持ちもあります」(=写真下) 今西海緒=主に八番・三塁「みんな疲れてるけど、1年間ずっと練習してきているので、試合になるといつも通りにやれるのだと思います。決勝はピッチャーをしっかりやること。それしか意識してないです」(=写真下) 庄司七翔=主に四番・投手「この大会の2連覇を目標に1年間、ずっとやってきたので、もう絶対に優勝したいです」(=写真下) 千代松剛史監督「もうここまで来たら、やっぱり優勝したいというのが本音です。がんばります!もうね、あれこれないですよ。勝つのみ」   きた 北ナニワハヤテタイガース 北嶋隼士主将=主に三番・投手「新家さんは強くて走塁がすごい。一塁に出ると、ほとんど三塁まで来るし、転がして1点も取ってくる。こっちは守り勝つだけです。相手を3点以内に抑えて、こっちは4点、5点を取る。みんなでやるべきことをやれば、できると思います。自分たちが練習でやってきたことを決勝の舞台でも出したいなと思います」(=写真下) 山口琉翔=主に一番・三塁「(準決勝で無四球完封の要因は)監督に教えてもらったようにストライク先行で、打たせて取る。心の中では人に任せず、自分で全部抑えるという気持ちでした。明日の決勝も投げるつもりです。新家さんには5年生の3月くらいに試合したときに2対1でサヨナラ負けして、そのときのピッチャーがボクだったので。今度は勝った瞬間にマウンドにいたいです」(=写真下) 中川翔斗=主に六番・左翼「...

【準決勝★直前スペシャル】全4チームの監督コメント&注目選手

【準決勝★直前スペシャル】全4チームの監督...

2024.08.21

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月21日、神宮球場で準決勝2試合を行い、ファイナリストが決まる。決戦を前に、ベスト4各チームの勝ち上がりと注目選手、指揮官のコメントをお届けしよう。 (取材&文=大久保克哉) ※試合評やヒーロー、グッドルーザーは大会後にお届けします 準決勝カード ■第1試合8:30開始 [大阪]3年連続4回目 新家スターズ   VS. 不動パイレーツ [東京]2年連続5回目 ※昨年決勝戦と同日カード(1年前の試合評➡こちら)   ■第2試合10:25開始 [兵庫]2年連続4回目 北ナニワハヤテタイガース   VS. 牧野ジュニアーズ [奈良]初出場   ―TEAM01― ″整い野球″の不敗王者 関東勢4タテなるか!? 前年度優勝/大阪府  新家スターズ 【今大会の軌跡】 2回戦〇10対7山野(埼玉)...

【2回戦/駒沢/府中】″酷暑も超える熱戦”写真ハイライト

【2回戦/駒沢/府中】″酷暑も超える熱戦”...

2024.08.20

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月18日、5会場で2回戦を行い、ベスト16が出そろった。前年Vの大阪・新家スターズと、初出場の埼玉・山野ガッツとのゲームは、学童球史に残るようなタフな点取り合戦に。前年準Vの東京・不動パイレーツと、2020年準Vの愛知・北名古屋ドリームスは劇的な逆転勝ち。これらの″酷暑も超える″名勝負は追って特報予定だが、まずは2会場での4試合を写真ハイライトで。 (写真&取材=大久保克哉) ■2回戦/駒沢第1試合 人生初アーチが逆転決勝3ラン! [大阪]初3年連続4回目 新家スターズ  3205=10  2320=7 山野ガッツ [埼玉]初出場 山野は長打6本を含む2ケタ安打の猛打で、前年王者をあと一歩まで追い詰めた。3回裏には七番・高松咲太朗がレフトへ勝ち越しソロ(上)、一番・中井悠翔が3安打目となるタイムリー(下)で7対5に 新家は4回表、5対7から六番・黒田大貴が逆転3ラン(上)。何と「初めてのホームラン」(黒田)が、大熱戦の決勝打となった※この試合は大会後に特報予定   ■2回戦/駒沢第2試合 船橋、ハンパないって! 1回裏、船橋の四番・濱谷隆太がライトへ先制2ラン(上)。5回裏に三番・竹原煌翔がレフトへダメ押しソロ(下)で13点目 [鹿児島]3年ぶり5回目 国分小軟式野球スポーツ少年団  000000=0  201280=13 船橋フェニックス [東京]2年連続2回目 「新チーム始動時は9人。それからここまでよくやりました」と国分小の末松正純監督。唯一の出塁は5回二死からの四球で、一塁へガッツポーズして走った小原旭(上)は「兄が野球をしていたので1年前にサッカーから野球に来ました。今は野球が大好きです」   ■2回戦/府中第3試合 成長、ハンパないって!...

【1回戦/駒沢】写真ハイライトetc.

【1回戦/駒沢】写真ハイライトetc.

2024.08.19

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月17日、7会場での1回戦から競技スタート。船橋フェニックス(東京)、多賀少年野球クラブ(滋賀)、北名古屋ドリームス(愛知)ら金メダル候補は概ね勝利するなかで、2019年準Vの茎崎ファイターズが敗退した。レポートの第2弾は、駒沢公園硬式野球場での1回戦4試合の写真ハイライト。 (写真&取材=大久保克哉) ※好勝負やチームや選手の深掘りリポートは追ってお届けします ■1回戦/駒沢第1試合 いきなり大会第1号!? [新潟]初出場 岩室クラブジュニア  10000=1  09400=13 多賀少年野球クラブ [滋賀]7大会連続17回目 おそらく大会1号? 1回表、岩室の二番・田中優心が、高く舞い上がる中越え先制ソロ(上)。多賀も3回裏、八番・髙木陽旭がレフトへ豪快にソロアーチ(下)   多賀は先発の鈴木啓大朗(上)が2回1失点とゲームをつくり、2番手の春日飛雄馬がパーフェクト救援で逃げ切り。岩室は頼みの大エース・田中が右肩負傷で大苦戦も、「楽しさ」を求めてチームを創設した父・田中裕明監督は、必ず笑顔で選手たちを出迎えていた(下)   ■1回戦/駒沢第2試合 若鷹軍団の今宮父、見参! 別府大平の今宮美智雄監督(70歳=上) は、福岡ソフトバンクの名手・今宮健太内野手の実父。かつて息子もプレーしたチームを率いて34年目で全国初出場&1勝。二番の豊島大和(下)が1回に先制三塁打、さらに四番・山下啓太のスクイズで2点 [大分]初出場 別府大平山少年野球部  200000=2  001000=1 西城陽MVクラブ [京都]10年ぶり3回目 11球ファウル、14球目で四球。2回表、別府大平の九番・三浦大和(下)は二死走者なしから驚異的な粘りで四球をゲット。西城陽の先発・北川佑信(上)は根負けも、真っ向勝負が印象的。以降も本格派の4投手が好投した...

【開会式】ラストの夢舞台「神宮」に1053選手の足跡。51チーム大行進

【開会式】ラストの夢舞台「神宮」に1053...

2024.08.17

 高円宮賜杯第44回全日本学童軟式野球大会マクドナルド・トーナメントは8月15日、明治神宮野球場で開会式を行った。2009年から続いてきた東京の固定開催も今夏がラスト。全国の学童球児の憧れでもある聖地「神宮」で、出場全51チームの1053人(登録)が入場行進した。台風の影響で競技の初日は順延となり、17日の7会場1回戦からスタートする。決勝は22日、神宮球場。果たして、このフィールドに戻ってくるファイナリストは――。 (写真=福地和男) 開催地・東京を代表して、レッドサンズの竹澤律志主将が歓迎の挨拶。今大会は都4位で出場を逃すも、気持ちのこもった言葉に場内から大きな拍手も    1053人の選手を代表し、福井・東郷ヤンチャーズの吉田颯志主将が宣誓(上)。始球式はBCL/栃木の投手で、お笑いコンビ「ティモンディ」の高岸宏行氏が務めた(下) ■出場51チーム ※大会公式プログラム掲載順   しんげ 新家スターズ [前年度優勝/大阪]3年連続4回目   みやま 美山イーグルス [北海道北]初出場   いわみざわ 岩見沢学童野球クラブ [北海道南]初出場   ひらかわジュニア 平川Jrベースボールクラブ [青森]初出場   いのかわ 猪川野球クラブ...