侍ジャパン女子代表のエース、そして埼玉西武ライオンズレディース所属でもある里綾実選手が主催する『未来を創る!女子野球イベント』も2024年で3回目となりました。
現在、日本しいては世界の女子野球界においてトップレベルである里選手、そして国内屈指の強豪である埼玉西武ライオンズレディース/ZENKO BEAMSの選手たちが次世代へ伝えるコトとは…?
女子野球の未来を創る次の世代へ①はこちら
2024年12月26日更新
目次 |
各年代の盛り上がりが必要不可欠 |
では、どうしたら・・・? |
里選手からのメッセージ |
編集後記 |
各年代の盛り上がりが必要不可欠
ディスカッション後半は、監督・トップ選手からの質問に対して、未来を創っていく参加選手たちが回答を考える時間もありました。
Q:女子野球の未来はどうあってほしいか?5年後、10年後の女子野球はどうなっているか?
A:公立高校にも女子野球部ができてほしい。小学校や中学校にも女子野球部ができてほしい。甲子園での開催やテレビ放映をしてほしい。
特に甲子園開催やテレビ放映などには、まずは全国各地で予選が行われ、全国大会と呼ばれる大会のレベルが上がることが必須ではないかという印象も受けます。
日本中の高校女子野球部が登録すれば参加できるという現在の全国大会が、地区予選や地域予選が行われるようになった先には、選手たちの願いも叶う日がくるかもしれません。
そして、公立高校や中学にも女子野球部ができてほしいという回答には、現世代の大人たちが取り組むべき課題が見えてきます。
やはり現在はほとんどが私立高校、さらには寮生活などの条件下で続けるという選択肢になってしまいますので、続けたくても続けられないという子たちが取り残されています。
公立高校の男子野球部で続けているという子や、選手はあきらめてマネージャーをしているという子も、全国各地には多く存在します。
男女問わず運動部が減少している昨今ですが、高校の女子野球(主に私立)だけが盛り上がり取り上げられていては、いづれこの女子野球のムーブメントにも終わりが見えてくるでしょう。
では、どうしたら・・・?
女子野球界でプレーをしてきた多くの選手たちが引退し、セカンドキャリアや引退後の関わり方の幅が広がっている時期でもあります。
かつて「全国で5校しかなかった高校女子硬式野球部でプレーをしてきた世代」さらには、もっと以前の「女子野球がやりたかったけれど、環境がなくできなかった世代」が、粘り強く幅広い年代・カテゴリの女子野球を盛り上げる必要があります。
例えば、中学女子野球…都内や首都圏の中学女子野球チームは少しずつ増えてきています。しかし、まだまだ地方では各県に1チームのみだったり、硬式の女子チームはなかったりという現実があります。
そして、女子軟式野球…硬式は侍ジャパン女子代表や高校の甲子園・東京ドーム開催・イチローさんとの試合など、さまざまな場面でニュースにも取り上げられるようになりました。
実は硬式よりも長い歴史を積み上げている女子軟式野球ですが、近年は大学の部活数までも減少傾向にあります。
一部のムーブメントど真ん中の盛り上がっている部分だけに注力するのではなく、さまざまな分野で女子野球の未来を創っていかなくてはいけない時期に突入しています。
里選手からのメッセージ
現在、少子化の影響により部活動の数や部員数は減少傾向にある中で女子野球の競技人口は増加しています。
私が野球を始めた当初は『野球でピッチャーをやっています』と言っても、ソフトボールと勘違いされることが多い時代でした。
しかし徐々に状況が変わっていき、今は女子選手でも野球をすることが少しずつ世間に受け入れられてきていると実感しています。
野球をする環境が整ってきたとはいえ、時には性別が壁となり、厳しい状況に置かれることもあるかもしれません。
しかし、そのなかで一つ言えること。
それは、皆が野球を大好きだということ。
たった一度きりの人生の中で、一生懸命になれるもの、好きなものに出会えることはとても幸せなことです。
それは、人生にたくさんの経験をもたらしてくれます。時に楽しく、嬉しいことでもあり、同時に厳しく、辛いことでもある。でも、やっぱりそれって幸せなことなんです。
だからこそ、野球をしている自分が好きになれる。
『未来を創る!女子野球イベント』は野球をやっている女子選手の世代を越えた交流と、トップ選手が輝く場を作り、自ら考え・感じ・行動を起こすきっかけづくりを目的としています。
誰かに与えてもらった環境の中で何気なく過ごしていくのではなく、当事者意識を持ち自分自身で何ができるのかを考えて行動する意識を持つということ。
そんなことを野球を通して伝えていけたら良いなと思っています。
そして、それに気づいて行動する選手が1人でも多くなれば女子野球の未来は更に大きく発展していくと信じています。
このイベント開催にあたり、ご理解とご協力してくださる株式会社フィールドフォース様に心から感謝申し上げます。
里 綾実
(左から、ネオパレット平野さん、フィールドフォース小林、里選手)
編集後記
今回で第3回目となる本イベントですが、里選手より連絡を受け第1回から協賛企業として応援をしています。
里選手と私は同学年で、高校・大学・女子プロ野球&クラブチームとずっと敵チームでした。
お互いピッチャーとしてマウンドに上がり、何度も投げ合ってきました(対戦成績は里選手の圧勝ですが…)
JAPAN選手として選出された時期も異なり、約20年前から1度も同じチームでプレーしたことはありません。
それでも、女子野球だからこその繋がりで、このように協力しながらそれぞれができる方法で未来を創るべく活動をしています。
女子野球の未来が明るく広がり、当たり前のスポーツになるように…
フィールドフォース 小林