不安定な足場で下半身の使い方を考える
プロ野球引退後は、学童・中学球児対象の野球教室 井端塾 を開講し、現在はU-12の代表監督を務める井端弘和氏。
そんな子ども達への指導の最前線を走る井端氏は、バッティングにおいて『楽をしたらダメ』と言います。
今回は "あえて不安定な足場となるバッター用トランポリン" の改良のアドバイスもいただきながら、下半身の大切さについてお聞きしました。
まずは軸足に"乗せる"事
この画像を見てもわかるように軸足(右打者なら右足)に真っすぐ体重を乗せます。
重さで沈み込むトランポリン上であれば、軸足への力のかかり方がよりわかりやすくなります。
つま先に重心がかかりすぎれば体は前に突っ込む状態になり、逆にかかとに重心がかかりすぎれば体は後ろに倒れていきます。
しっかりとバランスをとるためにも母指球を意識し、かかと側や体の外側に力が流れないようまずは"軸足で立てる事"を目指します。
母指球で立つ意識
実際に地面で行う素振りやティーバッティングでは、なかな自分自身の重心がどちら側にかかっているかわかりづらいですが、このように不安定な足場でバッティングを行うと一目瞭然です。
さらに"打ちにいくための待ち方"をするため、必然的に母指球に体重が乗るようになります。
かかとや外側に体重が乗っていては、その後しっかり振り切るスウィングができません。
乗せたパワーをぶつける
軸足に乗せた体重・パワーをどうやって前方へ移動させるか?
「溜めた力をボールへぶつける」という表現を使うこともあります。
このトランポリンを使うことの良さの一つに"バネの戻ろうとする力"があると言います。
軸足に体重を乗せたときには、トランポリは1か所に体重がかかるため大きく沈み込みます。
そこから下記の画像のように、踏み出し足(右打者なら左足)を着き両足に重さが分散する際には、軸足の沈み込んだバネが戻ろうとするので、前方方向への動きの補助の役割を担います。
軸足の戻る力も利用して、ボールへためた力をぶつける感覚を体で覚えます。
この絶妙な不安定さ、沈み方、バネの反発を求めてこのバッター用トランポリンは井端氏のアドバイスをもとに改良を重ねました。
男性3名で強度を調整
しかし、ここでも大事なポイントが…
それは「踏み出し足が沈み込みすぎないこと」、体が突っ込む感覚にならないことです。
トランポリン上でこのようになってしまっていたら、地面でも体が突っ込んでいてボールを強く打ち返せていない状態です。
軸足、踏み出し足ともに重心のかかるバランスが大切です。
しっかりと踏ん張れているか、先述した『楽をしていないか』ということです。
体重を乗せ、バランスを取り、下半身を使い、溜めた力をぶつける。この一つ一つを丁寧に楽をせず行うと、数回のスウィングで『キツイ!』と感じるはずです。
基準を作ることも大切
素振りやティーバッティングの際には地面に1本の線を引いて、自分自身の基準を作るとスウィングが崩れているときの判断材料にもなります。
ステップ幅がいつもより狭い…体重移動がうまくできていないのではないか?
体がラインより前にいっている…突っ込んでしまっているのではないか?
自分自身の基準としても、指導する際の監督コーチや保護者の方の基準としても大切です。
下半身を大切に"楽をしない"
バットの軌道や腕の使い方などさまざまな打撃理論が世の中に溢れる昨今ですが、特に学童球児がまず大切にしてほしい事はやはり下半身の使い方です。
今回井端氏にお聞きしたポイントは
・軸足に乗せて待つ事
・前方方向へ力をぶつける事
・踏み出してバランスを取る事
・自分自身の基準を作る事
そしてけして"楽をしない事"
使用しているバッター用トランポリンは下記のリンクよりご確認ください。