売れている商品に感じた違和感…
フィールドフォースのバッティング練習用品として販売されていたスウィングチェアー(現在は廃番となっています)
一輪車のような座面が地面から垂直に立つ軸に取り付けられていて、その場で回転をすることができる商品です。
\例えばピッチング/
投げたい方向への体重移動、j体に対しての横の動きがとても重要です。
しかしそれがなかなかできない子が多く、言葉で伝えることも難しいポイントです。
ピッチングだけではなく、バッティングも同様で、その場でくるくる回っていても絶対に打球は飛びません!
良いところは残しつつ改良を!
単純に「土台をレール状にしてあのスウィングチェアーを横にスライドさせればいい」と考えて提案をしてみましたが、案の定課題は盛り沢山です。
・座面の形はこの一輪車のようなものがベストなのか?
世の中にも浸透しているこの形状ですが、様々な素材を組み合わせており座面部分のみでも生産価格はけして安くはありません。
そしてこのひょうたんの形状はバッティングのインパクト・ピッチングのリリース時により力を伝えるために必要な「足を締める」という動作を妨げていないのか?
・スライドさせる幅や高さはどれぐらいがいいのか?
大人が想定している幅では子ども達にとっては動き過ぎてしまうのではないか?
・重心を下げるということにも重きを置くのであれば低めの設定の方が良いのではないか?
・耐荷重はどれぐらいを想定した強度にするのか?
体重の上限を決めた資材調達が必要になります。もちろん強度アップをさせるとその分資材の価格は高騰し、必然的に販売価格も高価なものになってしまうのです。
主にこの練習をする選手は何歳から何歳までの選手だろうか?そんなことを考えて使う資材を選定しなくてはいけません。
まずは実際にサンプルを製作してみる
まず形にしたのはスライドできる土台です。
土台レールの溝に、鉄製のローラーを左右に付けた支柱となる軸をセットします。
\これでスライド機能が実現/
そして次に考えなくてはいけないのが、体重を預ける大事な部分でもある座面の形状です。
長方形では足を締めて太ももで挟み込んだ時に痛いので、片側だけ丸みを帯びた形に加工してみたり…
スポンジがむき出しでは破損しやすく座り心地も良くないのでカバーをかぶせてみたり…
そして試しにフィールドフォースの男性社員が座って何度か素振りをしてみると…
やはり耐荷重問題にも直面しました。
直角に土台部分に体重がかかりますので、軸となる支柱が下がり、レールの部分を削ってしまっていたのです。
そして「なんかスライドがスムーズにいかずに途中で止まってしまうなぁ」と思っていたら…
重さに耐えられず土台が湾曲してしまい、スムーズに動かなくなっていました。
商品を進化させるのも難しい
その場で回転するだけの練習から
体重移動ができるようにしたい
すでに売られている商品を改良することは、きっとそこまで大変ではないのではないか?なんて甘い考えでした。
提案してから商品の仕様が決まるまでいくつもサンプルを製作して、時間もとてもかかりました。
開発のきっかけとなったピッチングの動きにも非常に効果的です。
投げる方向(キャッチャー方向)へ体重移動する補助となるので、軽く腰かけてこのように反復することで、体一つでは筋力的に厳しい動きを繰り返すことができます。
もちろん足腰の筋力や強さも必要ですし、実際に投げる動作でボールへいかに力を伝えるかということが最重要ではあります。
しかし、特に小中学生はまずその動作を習得し、体に覚え込ませることが大切だと考えています。
\商品名:スライドチェアー/
座面をあえて小さめにすることで、全体重を預けて座るのではなく、しっかりと下半身で踏ん張らなくてはバランスが取れないようにしました。
スライドチェアーはあくまで補助として、下半身を使う練習が出来るようにすることも重視しました。
必要以上に長いレール(スライド幅)にせず、両足を着いた状態で左右に体重移動ができる幅にしました。
この商品を使用した練習方法に対する最適なサイズになりました。
耐荷重は80㎏
サンプル段階で土台の【削れ】や【湾曲】が起きてしまった耐荷重問題ですが、商品を使用する主な対象選手の年齢を小学生~中学生と考えました。
1000スウィングの強度テストも実施し、上限80㎏と設定しました。
左右への体重移動を習得!
&
軸を中心に回転する動きを習得!
心から子ども達のことを考えている野球用品メーカーの社長そして社員達の商品開発への挑戦は終わることなくこれからも続きます・・・