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浮かせて打つ、新感覚ティー 【エアーティー】

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  • 2026注目戦士

5ツールを磨く“球童”。冬の神宮の涙を、今夏3度目の全国で笑顔へ!!

2026.03.13 |更新日:2026.03.24 注目戦士
5ツールを磨く“球童”。冬の神宮の涙を、今夏3度目の全国で笑顔へ!! - フィールドフォース

【2026注目の逸材】

なや・ゆうせい

納谷悠聖

[福井/新6年]

えちぜん

越前ニューヒーローズ

※プレー動画➡こちら

【ポジション】遊撃手、投手

【主な打順】四番

【投打】右投右打

【身長体重】157㎝57㎏

【好きなプロ野球選手】フェルナンド・タティスJr.(パドレス)

※2026年3月5日現在

ぞっこんのスター

 投手用のグラブに縫い留めている「23」。ひと昔前ならヤクルトの青木宣親、今ならソフトバンクの周東佑京(※侍ジャパンでは20番)に代表される背番号だ。

 しかし、納谷悠聖が心酔する23番は、海の向こうにいた。「ケガして(2022年)からライトだけど、もともとはショートで守備も巧いし、肩も強いし、打てるし、おしゃれ…」

 熱い推しのプレーヤーとは、フェルナンド・タティス・ジュニア。27歳にしてMLBパドレスの“顔”であり、打撃・走塁・守備の5つのスキルを兼備する「5ツールプレーヤー」との定評も得ている。

 父子鷹のドミニカンとしても知られ、目下のWBCにも父・タティスSr.コーチとともに参戦中だ。1次ラウンドの第3戦で満塁アーチを放つと、4連勝とグループ1位通過をかけたベネズエラとの最終戦で決勝3ランと、派手に暴れて.467の高打率もマークしている。

 ドミニカ共和国は、2013年の第3回WBCで全勝V。今回は年俸総額“4000億円超”とも言われる破格のスター軍団で、侍ジャパンが対決するとなると3月18日の決勝になる。最初の脅威は不動のトップバッター、タティスJr.だろう。

ニッポンの父子鷹

「夢は? メジャーリーガーになること。一番自信があるのは? ショートの守備です。世代No.1のショート? はい、負けないです。見せ場は? 投手寄りの打球をシングルで捕ってランスロ―することです」

 迷わずに答える納谷の魅力は、タティスJr.にも共通する万能プレーヤーであることだ。遊撃守備、投球、打撃のハイスキルは動画に収めている通り。

 特筆したいのは、いくぶん太めでも動きにキレがあり、しなやかでダイナミックであること。試合前のウォーミングアップでは、ラン系のメニューも精力的にこなす姿があった。

「去年から陸上(走り方)の個人レッスンに通うようになって、足もちょっと速くなりました」

 べらぼうな俊足ではない。だが、昨年の12月時点で8秒1だった50m走のタイムが、現在は7秒台と着実にスピードもアップ。では、レッスンでどんなことを学んでいるのか。

「最初は、(身体全体で)前傾して走りながら起こしていくのをやりました。あとはヒザを上げたときの角度とか、盗塁のスタートとか…」

チームの試合前アップは、前後左右の動きや急停止・急転換など実戦に通じる豊富なメニューが組まれている

 納谷が師事するのは、“かず兄”こと村田和哉氏。福井商高(福井)で甲子園に2度出場し、大学から陸上競技に専念してランニングトレーナーに。練習法を紹介しているSNSの総フォロワーは、30万人超というカリスマだ。ちなみに、過去に日本ハムに在籍した同姓同名の元選手とは別人である。

 その“かず兄”と高校の同級生で、甲子園にも出ているのが越前ニューヒーローズを率いる納谷将史監督。そう、1男1女を養う納谷家の父親だ。

「息子に陸上を習わせたのは自分です。プレーを見ていてスピードが足りない感じというか、同世代と比べても走ることに関してだけは劣るかなと思ったので」(納谷監督)

納谷監督は中学まで投手兼遊撃手。福井商高では投手兼外野手で、2007年夏の甲子園に出場している

 とっかかりは親の指示だったにしても、先述のように教えを理解する賢さに加え、己のものにしようとする志は尊い。またそういう気質と父子の関係は、野球においてすでに構築されていたようだ。

「4歳くらいからお父さんとキャッチボールを始めて、家では素振りをしたり。小学校の入学式と同じ日に、チームに入りました」

 越前の一員となるや、“鬼”と化した父に納谷はおののくことになる。どんなに泣き叫ぼうが、鼻から血を垂らそうが、野球をしている間は変わらなかったという。

「3年生まではホント、お父さんが怖かったです。怒られるのも慣れてなくて、練習もすぐに嫌になって。でも毎日…」

 特訓のメインは守備。それが済んだら、3年生まではティー打撃、4年生からは学校の校庭で父が上から投げての実打に。半ば強制で始まった野球漬けの日々は、いつしか当たり前となり、のめり込んでいる自分に納谷は気が付いたという。

「やめなかったのは野球が好きだから。チームワークで大会とかで勝ったり、試合でも頭を使ってプレーできるから、野球はとても楽しいです」

 この学童ラストイヤーで抱く野望は、父子で一致している。個人としては「U12侍ジャパン(2026年は軟式)」と「中日Jr.」に入ること。チームでは、夏の全日本学童マクドナルド・トーナメントと、「冬の神宮」ポップアスリートカップ全国ファイナルくら寿司トーナメントに出ること。キャプテンも務める納谷は「全国制覇して、悔いの残らない1年にしたい」と、より踏み込んでいる。

 どの目標も夢の域だが、納谷ならば――。この新6年生にはそう思わせるだけのポテンシャルと、絶対的な拠り所がある。

2022年の夏、当時2年生の背番号11で全国大会でもベンチ入り㊤。5年時の2025年夏は、四番・遊撃で自身3度目の全国出場㊦

あっかんの全国実績

 納谷は2年生のときに、全日本学童大会でブルペン捕手やベースコーチを務めた。正真正銘のこの全国大会で初めてプレーしたのは翌2023年で、七番・二塁でフル出場し、前年度王者も破って3回戦まで進出している。

 4年時は大舞台と無縁も、昨年の5年時は「四番・遊撃」で全日本学童と冬の神宮に登場。同世代の追随を許さぬ、圧倒的な経験値の高さである。

2023年夏の全国大会。当時3年生ながら七番・二塁で堂々と3試合プレー

 全国大会で数々の名勝負を演じてきているチームの特長は、“超アグレッシブ野球”。子どもが少ない地域性もあり、全学年で20人に満たない小所帯ゆえに、低学年生も平然とプレーしている。そして現在の納谷のように、最上級生になって世代屈指のタレントが台頭してくるのも伝統となりつつある。

 納谷の父が“鬼”となった背景には、そういうチーム事情もあるようだ。下級生のわが子を上級生の足かせにしたくない、との思いはどの親にも共通するはず。「息子は3年生からは試合に出てたので、夜遅くまで泣いても(練習を)やることもありましたし、結構厳しくやってきたつもりです」(納谷監督)

全国大会初ヒットは3年夏(2023年)。前年王者の石川・中条ブルーインパルスとの2回戦で、第1打席に左前打を放っている

 そうしてシゴキ抜かれてきたからこそ、低学年のうちから大舞台でも実績を積めたのだろう。ただし、これまでの全国大会は、納谷には「試練」でしかなかったようだ。

 昨年は夏も冬も、四番打者として全国で及第点の成績。冬のポップ杯では2試合連続の先制タイムリーなど勝負強さを発揮したが、本人はまるで納得していない。

「自分はホームランをばんばん打てるタイプではないので、いつもセンター返しを意識してます。去年の夏(全日本学童2回戦)は最後のバッターになってる(遊ゴロ)し、ショートの守備でも取れるアウトを取れなかったり…。自分の力を出し切れなかった悔しさが一番にあります」

 4カ月後の冬の神宮では、期せずして悲劇の主人公に。愛知・名古屋ドジャースとの準決勝のドラマチックな幕引きについては、動画つきのリポート(➡こちら)を参照いただきたいが、代打サヨナラ2ランを浴びて試合後に泣き崩れたのが納谷だった(=㊦写真)。

「今でも悔しいっす」と繰り返すが、それも日々の糧に。現在は週末と火・水・金はチームで活動し、月曜は整骨院で身体をメンテナンス。木曜は隔週で走り方のレッスンと野球塾へ通う。

「球速は106㎞まできました。2月に野球塾で測りました」

 昨年からチームを率いている父は、息子であり主将でもある自分にとりわけ厳しいが、その理由や“鬼”だったころの心中も今ならよく理解できる。そう頷いた納谷は、新チームをこう評している。

「バランスが取れていると思います。新しくレギュラーになった子もいて、そんなにまだ打てるチームではないけど、守備が良い人も打撃が良い人もいて、声を出し続ける人もいて。ボクはキャプテンとして、チームを信じています」

 かつては自分もそうしたように、今の納谷は下級生にとっての手本。経験の浅いメンバーをフォローしつつ、全体を引っ張るリーダーだ。大目標を叶えるために、自慢のショートではなく、マウンドからスタートする試合が多い。そしてバックの守備が乱れても、悪態をついたり、頭に血が上って制球を乱すようなことがまずない。

1年でも小学生の成長は驚くほど。写真㊤は3年夏、㊦は5年冬。いずれも中央が納谷

「態度とか言葉遣いとかもチームでは厳しいです。ピッチャーをしてて心の中では(打球を)捕ってくれよ~とかありますけど、出さない。普段も威張ってない? はい、あっ、でも少し威張ってる(笑)」

 平成生まれの父親監督もピンとこないだろうが、昭和の時代から抜け出してきたようなガキ大将の風情で、鼻っ柱の強さも見て取れる。でもどこか、憎めない。むしろ愛されているのは、心根が真っすぐなせいか。

「勉強はできないけど、人と話すのは好きですね。家でのお父さん? たまに怒るときもあれば、優しいときもある。お母さんは? 厳しいというか、すぐ怒る(笑)。でも感謝しています」

 子どもながらに運命に抗わず、勝負の世界で懸命に生きてきている“球童”。虚勢や自己満足ではなく、自己顕示欲と向上心に満ちていて弁が立つのも、野球に没頭してきたおかげなのかもしれない。以下は父の弁。

「息子に敬語を教えたことはないんですけど、ふつうに喋ってますね。自分は大学まで野球をやれなかったので、息子には大学というより、社会人まではしてほしいですね」

 さてWBC。3月18日の決勝で侍ジャパン対ドミニカが実現すると、納谷少年の記憶により深く刻まれることだろう。そしてこのまま5ツールを磨いて夢のメジャーリーガーになる日がくるとすれば、濃密な少年時代の思い出のひとつとして語られるのかもしれない。今回のWBC開幕を前に、タティスJr.は父との日々などをMLBの公式サイトから世界へ発信している。

(動画&写真&文=大久保克哉)


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